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シネマユニットガス高槻彰の事務所日記
いまから20数年前のこと。大学を卒業した自分がAV業界に就職した瞬間の記憶があります。大学時代からいろいろな映像の仕事を経験し、その中で一番面白かったのがAVだった、というのは以前も書きました。
当初自分がお付き合いをした会社は宇宙企画という、大学の映画研究会の先輩(さいとうまことさん)が入社した会社でした。そこで多くの方と知り合いましたが、宇宙企画を辞めてAVの制作会社を作った若き監督もいました。小路谷氏という、ドキュメントでAVを撮った最初の監督です。昨今のドキュメント風AVと違い、彼の作品は、次はどうなるか展開のわからないドキュメントを取り入れた独特な作風で天才と囁かれておりました。自分は彼の才能に惹きつけられていました。
その彼の会社・4D(フォーディ)に自らの企画を持って行ったときのことです。自分の企画とは「小人FUCK」という、知り合いになった小人俳優の劇団員に出演してもらうもので、アブノーマルかつスキャンダルを売りにしたものでした。
僕の企画を読み終わって、「この企画はいいから、この企画をやらないか」と別企画を持ちかけられたのです。(のちに「ビデオスキャンダル」というタイトルになる。)それは最高に盛り上がっていた風俗業界を扱ったもので、初の情報ビデオの企画でした。内容は確かに面白く、売れそうでした。監督をやりたい、と思いました。彼は一つだけ条件を出しました。
「4Dに入社すること」
その場で判断を求められました。小路谷氏に言われて知ったのですが、そのときの僕の表情はとても苦痛そうだというのです。僕はかなり困ったのでしょう。監督はやりたい、でも就職となると他の仕事ができなくなる。それ以前に、AV業界に就職することになるんだ・・・。
AV会社に入社する決断は断固としたものではなく、心許ないものでした。

苦痛そうな表情をしていたその瞬間をたまに思い出すのです。AV業界に入って20数年経ちましたが、その心許ない決断を後悔したことは一度もありませんでした。逆にこの仕事で自分が解放されたという実感を得ることになります。

テーマ:日記 - ジャンル:アダルト

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