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シネマユニットガス高槻彰の事務所日記
平野監督はGASの元社員監督でした。彼が在籍していたのは、GASが爆乳専門メーカーになる以前、下請け制作会社の時代、1990年代から2004年までの約10年間です。
ぴあフィルムフェスティバル3年連続入賞と、自主映画界では有名な監督だったが、飯が食えずにAV監督になったのでした。最初の印象はパワフルでハングリーな男。牛丼屋で食い逃げしたり、本屋で万引きしてきたとケラケラ笑うところは子供ぽかったが、いざ映像に対しては真剣そのものでした。映像の仕事で飯が食える喜びに溢れていた。そう、平野監督は映像を、それも好きに撮れるのでAV監督になったのでした。
時代はバブルです。なにを撮っても許されました。また仕事も次々ありました。平野監督は“面白いAV”というジャンルの中心の監督となっていきました。代表作『水戸拷問』『ザ・タブー 恋人たち』『ザ・ガマン しごけ!AV女優』『21歳』『アンチSEXフレンド募集ビデオ』『わくわく不倫旅行 200発もやっちゃった!』(すべてV&R)など。

映画『監督失格』は、その延長線上にあります。つまり、映画のために撮られたのではなく、AV監督時代に撮ったものを原点に、現在に続くドキュメントになっています。AV女優・林由美香との41日間の北海道自転車旅行を綴り、後に『由美香』というタイトルで劇場公開された『わくわく不倫旅行 200発もやっちゃった!』が重要なモチーフとなります。
“何故、ここにカメラがあるのか?”という作品のコピーがありますが、それは誰もが感じることでしょう。またいろんな場面で、このカメラ、誰が撮ってるの?と思うことでしょう。まるでカメラマンがいて、絵を決めてきちんと撮っているようです。しかしそれを撮っているのは、平野監督本人。自ら出演者として映像に写り、主人公を演じ、撮影もしているのです。それが彼のユニークな撮影方法です。
この映画の重要な場面で、偶然あるものを撮影してしまいます。それこそ“何故、ここにカメラがあるのか?”と由美香の母親に疑われることにもなります。

この映画で語られる内容は、自分の身近で起こったものです。客観的に観ることができませんでしたが、すごい映画です。平野監督は、この映画の編集があまり乗り気ではなかったようで、勧めてもなかなか手をつけませんでした。その理由は映画の中で語られますが、ものを創るということとは、こういうことなんだよなと納得させられます。彼らしく、ストレートに想いが伝わります。

平野監督は、7年ほど前にGASを辞め、フリー監督となりました。それはレンタルビデオの時代が終わったことも深く関係しています。300円で借りられる、抜けなくても許されるAVが許されなくなったからです。彼は本質的にはAV監督ではありません。映画監督です。この映画が成功することを祈ります。彼が映画監督になって飯が食えますように(笑)。

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テーマ:日記 - ジャンル:アダルト

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