シネマユニットガス高槻彰の事務所日記
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20周年PART2 監督デビュー
大学を卒業後、いくかのAV撮影現場を経験しました。当時売れっ子の八神康子さん(隣のお姉さんシリーズ)の撮影にも呼ばれました。ボルドーという新規AVメーカーでした。内容は今でいうVシネみたいなもので、ピンク映画の延長でした。このシリーズは売れました。八神康子さんの売りは「かわいい普通の女の子」で、彼女のオナニーがビデオの生々しさで見られるのですから。
当時AVは、フィルム(ピンク映画)からの転向組とビニ本からの転向組の二つが大きな潮流であり、ボルドーはピンク映画系列でした。一方、ビニ本からの、エロを活かす撮り方をする宇宙企画の方が自分に合っていました。次第に宇宙企画の撮影の仕事が多くなっていきます。宇宙企画では画期的なビデオを作っていました。「ビデオボーイ」という大まじめなマガジンビデオです。その中で生まれて初めてプロとして演出させてもらったのが田所裕美子ちゃんの初ヌードコーナーでした。大学出たてでそんなチャンスをくれたのです。
「ビデオボーイ」はまったく売れませんでした。ビデオ自体が珍しい時代にマガジンビデオは早すぎました。「ビデオボーイ」はその後、AV紹介雑誌として生まれ変わることになります。また僕がヌードを撮らせてもらった田所裕美子ちゃんは、その後「ミス本番裕美子」という本番ビデオに出演することになります。それは衝撃でした。あんなかわいい娘が本番するんだ!という驚きでした。(八神康子さんなど、ほとんどの女の子は疑似本番、つまり本番はしていませんでした。)
AV監督になったのは同1983年。4D(フォーディー)という今はなき制作会社に就職してすぐでした。そこで小路谷秀樹さんという自分と同じ歳の天才監督と出会います。彼はイメージフォーラムを卒業後、「ビデオで撮影された生のエロを個人が所有できる時代になる」と思い至り宇宙企画に就職。『美知子の恥じらいノート』などドキュメントを取り入れたエロビデオを作り始めた、いわばAVの創始者だった。小路谷さんの作品はインタビューしてセックスという単純なものではなかった。セックスは生々しく見せるのだが、作品の奥深くにシュールなイメージ映像を取り入れ、作品が単純にならないようにする独特な作風だった。セックス商品だけではつまらない。そこに虚構を入れて作品に仕上げる。そんな彼の背中を見て僕は育った。
宇宙企画を退社した彼が作ったのが4Dだった。小路谷は僕にデビュー作として「ビデオスキャンダル」(VIP)という風俗嬢紹介ビデオを作らせます。彼はプロデューサーでもあったのです。現在でこそ風俗嬢をビデオで撮影して紹介するなんて当たり前のことですが、当時はビデオでの撮影取材が多くはなかったのです。家庭用のビデオカメラ(S-VHS)がようやく出てきた頃です。女の子情報としての「ビデオスキャンダル」が斬新だったことはわかっていただけるでしょうか。
ノーパン喫茶が登場し、風営法改正前で風俗が大変盛り上がった時代です。歌舞伎町は不夜城でした。大きく重かったビデオカメラや照明を大きいバッグに入れて繁華街を毎日のようにうろつきました。裸を撮らせてもらう女の子を探すためでした。取材費はナシ! つまりタダで出演してもらう女の子を10人以上探さなければならないのです。お店にとっては宣伝としてプラスになります!というのが売りでしたが、ビデオ取材が珍しすぎるのでなかなか見つかりませんでした。お店で取材しながら、「もう一つ話しがあるよ。本番ビデオに出演しない?それはギャラを払う」と交渉するのも自分でした。スタッフは自分一人だけだったのです。
しかし苦行のようなその仕事は燃えました。自分はAVという世界が向いているとその時は確信したりもしました。この苦労は現在になって活きることになります。
この社員監督時代の女優で撮影したのは、竹下ゆかりさん(私がスカウトしました)、田所裕美子さん(イメージのみ)、中村京子ちゃん。(中村さんのみ“ちゃん付け”なのは今でも友達だから)。ちなみに当時活躍していた女優は渡瀬ミクさん、イヴさん、滝川真子さん、古沢有希子(早見瞳)さんたち。
4Dは二年で退社します。その後、自分の制作会社を作ることになります。
(つづく)
※記憶による間違いがありましたので、加筆訂正いたしました。
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【2007/09/21 Fri】
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