2ntブログ
シネマユニットガス高槻彰の事務所日記
大学を卒業後、いくかのAV撮影現場を経験しました。当時売れっ子の八神康子さん(隣のお姉さんシリーズ)の撮影にも呼ばれました。ボルドーという新規AVメーカーでした。内容は今でいうVシネみたいなもので、ピンク映画の延長でした。このシリーズは売れました。八神康子さんの売りは「かわいい普通の女の子」で、彼女のオナニーがビデオの生々しさで見られるのですから。
当時AVは、フィルム(ピンク映画)からの転向組とビニ本からの転向組の二つが大きな潮流であり、ボルドーはピンク映画系列でした。一方、ビニ本からの、エロを活かす撮り方をする宇宙企画の方が自分に合っていました。次第に宇宙企画の撮影の仕事が多くなっていきます。宇宙企画では画期的なビデオを作っていました。「ビデオボーイ」という大まじめなマガジンビデオです。その中で生まれて初めてプロとして演出させてもらったのが田所裕美子ちゃんの初ヌードコーナーでした。大学出たてでそんなチャンスをくれたのです。
「ビデオボーイ」はまったく売れませんでした。ビデオ自体が珍しい時代にマガジンビデオは早すぎました。「ビデオボーイ」はその後、AV紹介雑誌として生まれ変わることになります。また僕がヌードを撮らせてもらった田所裕美子ちゃんは、その後「ミス本番裕美子」という本番ビデオに出演することになります。それは衝撃でした。あんなかわいい娘が本番するんだ!という驚きでした。(八神康子さんなど、ほとんどの女の子は疑似本番、つまり本番はしていませんでした。)

AV監督になったのは同1983年。4D(フォーディー)という今はなき制作会社に就職してすぐでした。そこで小路谷秀樹さんという自分と同じ歳の天才監督と出会います。彼はイメージフォーラムを卒業後、「ビデオで撮影された生のエロを個人が所有できる時代になる」と思い至り宇宙企画に就職。『美知子の恥じらいノート』などドキュメントを取り入れたエロビデオを作り始めた、いわばAVの創始者だった。小路谷さんの作品はインタビューしてセックスという単純なものではなかった。セックスは生々しく見せるのだが、作品の奥深くにシュールなイメージ映像を取り入れ、作品が単純にならないようにする独特な作風だった。セックス商品だけではつまらない。そこに虚構を入れて作品に仕上げる。そんな彼の背中を見て僕は育った。

宇宙企画を退社した彼が作ったのが4Dだった。小路谷は僕にデビュー作として「ビデオスキャンダル」(VIP)という風俗嬢紹介ビデオを作らせます。彼はプロデューサーでもあったのです。現在でこそ風俗嬢をビデオで撮影して紹介するなんて当たり前のことですが、当時はビデオでの撮影取材が多くはなかったのです。家庭用のビデオカメラ(S-VHS)がようやく出てきた頃です。女の子情報としての「ビデオスキャンダル」が斬新だったことはわかっていただけるでしょうか。
ノーパン喫茶が登場し、風営法改正前で風俗が大変盛り上がった時代です。歌舞伎町は不夜城でした。大きく重かったビデオカメラや照明を大きいバッグに入れて繁華街を毎日のようにうろつきました。裸を撮らせてもらう女の子を探すためでした。取材費はナシ! つまりタダで出演してもらう女の子を10人以上探さなければならないのです。お店にとっては宣伝としてプラスになります!というのが売りでしたが、ビデオ取材が珍しすぎるのでなかなか見つかりませんでした。お店で取材しながら、「もう一つ話しがあるよ。本番ビデオに出演しない?それはギャラを払う」と交渉するのも自分でした。スタッフは自分一人だけだったのです。
しかし苦行のようなその仕事は燃えました。自分はAVという世界が向いているとその時は確信したりもしました。この苦労は現在になって活きることになります。

この社員監督時代の女優で撮影したのは、竹下ゆかりさん(私がスカウトしました)、田所裕美子さん(イメージのみ)、中村京子ちゃん。(中村さんのみ“ちゃん付け”なのは今でも友達だから)。ちなみに当時活躍していた女優は渡瀬ミクさん、イヴさん、滝川真子さん、古沢有希子(早見瞳)さんたち。
4Dは二年で退社します。その後、自分の制作会社を作ることになります。
(つづく)
※記憶による間違いがありましたので、加筆訂正いたしました。

テーマ:日記 - ジャンル:アダルト

物凄く楽しく拝見してました。
超懐かしい女優さんの名前まで出て来て…。
ビニール本からビデオにバトンタッチする時代ですネ。
この時代はある意味エロの開放、及びオナニー媒体の変化とすざましい勢いでした。自分では『オナニー文化の開花・オナニズム文化』と称して周りに力説してた若かりし時代です。(真面目に…)
続きを楽しみにしてます。 
【2007/09/22 Sat】 URL // ひろ #- [ 編集 ]
昔が懐かしい~
80年代初頭は風営法の前なんですね。ノーパン喫茶ありましたありました。地方から出てきた同僚を連れて歌舞伎町に一緒に行ったことを思い出します。ひろサンが言われるビニ本がメディアの主流から徐々に変わっていく時代だった頃。ちょっと懐かしくなります。

高槻監督は助監督の修行が少ないと言いつつ、撮影機材までもって全部を一人で作り始めたんですね。キャストの口説きからスタートするとなると、「監督」を「作品」をイメージする人なのかなと少し考えてましたけど、もっと足に地をつけた仕事なんでしょうね。そんな経験からスタートするんですね。
【2007/09/23 Sun】 URL // 森のクマ #- [ 編集 ]
コメントありがとうございます。
ひろさん
ビデオの出現は文化を変えましたよね。個人でセックスを簡単に所有できる時代ですから。
以前は雑誌本でした。好きだったプレイメイトが動いてるのを見て感動したのを覚えています。

森のクマさん
またまたありがとう。
先ほどの追記になりますが、あんな苦行をする監督は今はいないと思いますよ。というか、システムが出来上がっているからやる必要がないのです。創世記の頃は本当に女の子がいなかったから、スカウトを兼ねた撮影をしたのです。でもあの頃はハチャメチャで楽しかったですよ。
【2007/09/23 Sun】 URL // Akira Takatsuki #- [ 編集 ]
宇宙企画のSMモノ
高槻監督、ブログ大変面白く全部読ませていただきました。

濡木さんや明智さん、そしてビデオでは珍しい長田英吉さんの監督をされているので、お名前はよく知z存じていたのですが、アダルトビデオの黎明期から活躍されていたのですね。認識を新たにしました。

明智伝鬼は、宇宙企画のSM作品で緊縛師として参加したという話があります。該当作品が分かりません。

宇宙企画のSMものは80年代初めに限られていると思うのですが、高槻監督が手伝っていた頃に、明智伝鬼が参加した宇宙企画もののSM作品とかあったかどうか、覚えていらっしゃいませんか?観てみたいのです。よければ教えてください。

長田英吉のビデオも1982にボルドーから出ているのです。長田英吉のビデオは数が少ないので貴重です。

【2009/07/31 Fri】 URL // コタケ #5FFQteKI [ 編集 ]
Re: 宇宙企画のSMモノ
コタケ様 初めまして。

コメントありがとうございます。
覚えていただいて嬉しいです。

明智さんが宇宙企画で緊縛されていた作品ですか・・・
なんとなく記憶にあります。
宇宙企画の初期の頃ですよね。
タイトルはよくわかりませんが、
マガジン系の作品なら「ビデオSEXY倶楽部3」
単体なら「やさしくなぶって2 ダブルインサート美奈子」「倒錯の夢」でしょうか・・・
間違っているかもしれませんが。

長田さんのボルドー作品に、自分はADでお手伝いしたかもしれません。お世話になっていた監督さんが長田さんの話しをされていたのを覚えていますし、現場にも行った覚えがあります。
【2009/07/31 Fri】 URL // Akira Takatsuki #- [ 編集 ]
承認待ちコメント
このコメントは管理者の承認待ちです
【2009/08/01 Sat】 // # [ 編集 ]
コタケさん
コメントありがとうございます。

コタケさん、すごいです。
もうすっかり忘れてました。

覚えているスタッフ名があるので、自分が関係した撮影だったかもしれません。
自分の姿をぼくも見てみたいです。大学時代のころです。
【2009/08/13 Thu】 URL // AkiraTakatsuki #- [ 編集 ]
Re: 長田英吉のボルドービデオ
kotakeさん
わざわざありがとうございます。

ファイルですが、開くことができませんでした。
申し訳ないのですが、再度送り直していただけないでしょうか。

それにしましてもkotakeさんのブログすごいですね。立派なライブラリーになりますね。

コメントは削除致しました。
【2009/08/25 Tue】 URL // Akira Takatsuki #- [ 編集 ]

管理者にだけ表示を許可する
http://akiratakatsuki.blog.2nt.com/tb.php/59-a3903c52
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
// HOME // 
Powered By FC2ブログ. copyright © 2005 シネマユニットガス高槻彰の事務所日記 all rights reserved.
プロフィール

AkiraTakatsuki

Author:AkiraTakatsuki
シネマ・ユニットガス

リンク
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
カテゴリー
ブロとも申請フォーム
ブログ内検索

RSSフィード