2ntブログ
シネマユニットガス高槻彰の事務所日記
1979年に大学に入学した自分は、映画研究会に入り自主映画作りに参加したり、映画を観まくっていました。当時、興味をもって観だしたのが、にっかつロマンポルノでした。ポルノというジャンルの映画がこんなにも面白いんだ、ハリウッドの映画よりも面白いぞ、とのめり込むように観まくりました。

映研の先輩の紹介で、ピンク映画の助監督のアルバイトを始めたのもその頃です。当時はフィルム撮影からビデオ撮影への変革期でした。しかし自分がお世話になったピンク映画の現場は、ビデオで撮影しているのにフィルムのような撮影方法をとり、ビデオの特質を活かしたものではありませんでした。カット割りが多く、女優のエロを引き出すのではありませんでした。

大学4年になり映画館で観た『ザ・オナニー』は衝撃的でした。何人かの女性が出てきては、インタビューされオナニーするだけのものでしたが、その生々しさは女優の演技というより、女そのものに見えました。やはりビデオの特性を活かして撮影をする人がいるんだな、これからはビデオの時代だなと確信しました。その監督が代々木忠さんでした。

1983年に大学を卒業した自分は、AVの制作会社に就職し、AV監督になりました。AV監督になると、自分の撮った女優が、他社メーカーでどのように活かされてるかを意識してしまいます。自分が撮ったときよりも、余所のメーカーの方が本気で感じているように見えると悔しいし、また自分に足りないものが何なのか考えます。AV監督になった時から、ずっと意識していたのが代々木監督でした。その手法を何度模倣したことでしょう。その演出に近づこうと失敗の繰り返しだったと思います。

1986年、村西とおる監督が黒木香の『SMぽいの好き』で時代の寵児となり、翌87年ついに代々木監督は『いんらんパフォーマンス』シリーズを発表します。そのシリーズは凄かった。内容は毎回違っていましたが、写っているのは女も男も本気セックスでした。ドキュメントの流れがあり、演じているつもりが本気になったり、時には恋人で登場したカップルが、その撮影で別れることになったり。セックスには猥褻感があり、また面白い。AV女優が演じているのではなく、女になっているのです。このシリーズのレベルの高さは、「映画なんかよりも面白い」とその当時のAV評があった程です。

そんな日本のAVは、世界のどこにもない、独自のサブカルとなっていました。当時から思っていました。こんなに素晴らしい映像は輸出すべきだ。劣情を催すだけでなく、面白い。世界の人たちに見てもらうべきだと。
にっかつロマンポルノを観て、あまりのレベルの高さに衝撃を受けた大学生の自分と同じように、世界の人にも知ってもらいたい。

約四半世紀経ち、2011年ようやくそれが実現されようとしています。代々木忠監督を描いたドキュメンタリー映画『YOYOCHU SEXと代々木忠の世界』(http://www.yoyochu.com)です。ローマ映画祭にも出品されたようですが、この映画を機に日本のAVの面白さ、凄さを世界の人たちに知ってもらいたく思います。

テーマ:AV紹介 - ジャンル:アダルト

YOYOCHU
昨日、丁度『YOYOCHU SEXと代々木忠の世界』を見たところなので、監督の日記、大変興味深く拝見させていただきました。特に、「自分の撮った女優が、他社メーカーでどのように活かされてるかを意識」という箇所は、われわれ鑑賞者にはない創作者の思いで、なるほどなと思いました。私も、代々木監督の「ザ・オナニー」シリーズは衝撃を受けましたし、今見ても結構ドキドキします。72歳でまだまだ現役というのもすごいですね。高槻監督も、20-30年後も作品を作っていてください。
【2011/01/28 Fri】 URL // コタケ #zZAb1ctE [ 編集 ]
なるほど♪
高槻さんの原点がわかりました。
まったく縁のない世界ですが、代々木さんと村西さんは自分が生きてる間にお会いしたい方々のリストに入ってます♪
性をちゃんと捉えてる方々とお話すれば自分のゆがんだ性も治るかな…と。
【2011/02/05 Sat】 URL // ふじこ #JalddpaA [ 編集 ]
コタケ様、メッセージありがとうございます。
『YOYOCHU SEXと代々木忠の世界』をご覧になりましたか。
日本の素晴らしいAV監督が映画で広く紹介されるのは、同じAV業界人としてとても嬉しく思います。
自分も頑張らないと。
【2011/02/10 Thu】 URL // Akira Takatsuki #- [ 編集 ]
ふじこさん、コメントありがとうございます
代々木監督も、村西監督どちらもとても魅力的な方々です。
お会いしてふじこさんに素敵な化学反応が起こるといいですね。
【2011/02/10 Thu】 URL // Akira Takatsuki #- [ 編集 ]

管理者にだけ表示を許可する
http://akiratakatsuki.blog.2nt.com/tb.php/109-9d35150b
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
// HOME // 
Powered By FC2ブログ. copyright © 2005 シネマユニットガス高槻彰の事務所日記 all rights reserved.
プロフィール

AkiraTakatsuki

Author:AkiraTakatsuki
シネマ・ユニットガス

リンク
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
カテゴリー
ブロとも申請フォーム
ブログ内検索

RSSフィード